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ただアニメをほめるだけ

更新頻度が低すぎる

『エンドライド』8話 差別問題を多面的に描く社会派作品の象徴となる一話

2016 春アニメ

 誰が見ても面白いアニメを面白いと褒めるのは楽ですけど、放送中のアニメを切らないで見ることを生きがいとしていると、自分の記事でそのアニメの楽しみ方を知ってもらって楽しんでもらえた方がうれしい気がしますよね。

 ということで、あまり私のTLで褒められも貶されもしない『エンドライド』、8話がとてもわかりやすく良い話だったのでそもそもどういう話なのかというところからまとめて、まだ見てない人も見ている人も楽しめる記事にできればと思います。

 

 

anime.endride.jp

エンドライド』の強み

内容に入る前に、『エンドライド』のメディアミックス展開やキャラクター原案等の強みをおさらいしておきましょう。

game.endride.jp

 アニメの放送は2016年4月からですが、それに先駆けて同年3月から新感覚RPGゲーム『エンドライド -X fragments-』の事前登録が始まっています。スマホゲームのようです。アニメとほぼ同時期にゲームを開始する流れはあの名作『ファンタジスタドール』や『絶対防衛レヴィアタン』の流れを彷彿とさせます。なお、エンドライドのゲームは「CyberAgent」という「Cygames」の所謂親会社的なところの作品になります。なのでどちらかというと『神撃のバハムート GENESIS』のほうが近い存在なのかな。

 キャラクター原案は「BASTARD!! -暗黒の破壊神-」で有名な萩原一至さんと、「るろうに剣心」で有名な和月伸宏さん。

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©エンドライド製作委員会

 その他、ゲームのイラストレーターにはあの『フラクタル』や『夏色キセキ』等でキャラクター原案を務めた左さんも参加するそうです。

スタッフ、キャスト

監督:後藤圭二

シリーズ構成:待田堂子

音響監督:なかのとおる

音楽:田中公平&IMAGINE PROJECT

制作:Brain's・Base

プロジェクト起案:青木良

 

浅永瞬:小野賢章

エミリオ:増田俊樹

アリシア:美山加恋

ファラリオン:大橋綾香

デメトリオ:高橋広樹

エルジュイア:鳥海浩輔

ルイーズ:伊藤静

OPテーマ「Limit」作詞・作編曲・歌:LUNA SEA

EDテーマ「go my way」作詞・作編曲・歌:藤巻亮太

 後藤圭二さんといえばアニメーターという印象が強い気がしますが、テレビアニメの監督は2012年の『戦国コレクション』以来の4年ぶりになります。あちらがmobageだったのでそのつながりなのでしょうか。

 シリーズ構成は待田堂子さん。どこへも引っ張りだこな名脚本家だと思っておりますが、2016春アニメは本作品と『クロムクロ』の脚本を担当しているのみ。

 音楽はあの田中公平さん。『機動武闘伝Gガンダム』の劇伴がとても好きなんですよね、特に緊迫感のある曲はもう田中公平さんじゃなきゃダメだって曲が多い。月並みですけど「燃えあがれ闘志 忌まわしき宿命を越えて」を聞いたことがない人はぜひ聞きましょう。

 プロジェクト起案は青木良さん。今までの仕事にどのようなものがあるのか調べようと思ったのですがあまり見つからず、見つかったのは悲しいツイート

 うーん悲しい。

 公式HPにスタッフやキャストからのコメントが載っているのですが、概ね、派手さを狙うのではなく地味だけど堅実な作品作りを目指しているといった雰囲気が感じ取れます。

 キャストに関して個人的に注目しているポイントは、アリシア役の美山加恋さんが声優初挑戦ということ。もう8話まで来ていますが違和感は一切なく、アリシアちゃんの可愛さを引き立たせる声になっていると思います。

 オープニングはオタクのぼくでも知ってるLUNA SEAさんが、エンディングはレミオロメンのボーカルであるところの藤巻亮太さんが歌っています。日テレアニメはそんなとこから歌手持ってくるの!?って感じの人を使ってくれるので新鮮な気持ちでいっぱいです。

1話~7話までの概ねの流れ

 いきなり8話の紹介をされても困るかなと思ったので簡単ではありますが、各話どういう話だったのかおさらいということで。一応言っておきますけれどネタバレです。

1話「ライド」

 浅永瞬君は前向きで明るい、おそらく父親の影響で鉱物が好きな普通の少年でした。父親の誕生日会を家でやる予定でしたが父親が帰ってこず、会社まで迎えに行くとそこに不思議な水晶があり、触ると瞬君はエンドラに飛ばされてしまうのでした。

 一方そのころエンドラでは、王子のエミリオが王であるデルザインを殺そうとしていました。デルザインの前の王がエミリオの父親であり、デルザインがその王を殺した恨みを晴らすためです。化宝具(かほうぐ)と呼ばれる体内にしまうことができる武具を発現させ、闘いますがデルザインの圧倒的な力の前に敗れ、牢に捕まってしまいます。

 牢の目の前に瞬君が召喚され、エミリオと対面。お互い困惑している間に、衛兵がやってきてやられると思ったその時、現代から来たはずの瞬君の化宝具が発現し、牢ごと衛兵を倒してくれました。

 無事脱出に成功するのですが、デルザイン王が使役するズー族という獣人に襲われ川に落ちます。なんとか生き延びた二人は秘密の水路をたどったところで井戸に出ると、アリシアとファラリオンに遭遇するのでした。

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©エンドライド製作委員会

2話「エンドラ」

 なんとか王城から逃げ出した一行は、身を隠すため昔研究所で所長をしていたパスカルの家を訪れます。瞬君はそこでエンドラが異世界ではなく空洞な地球の地下に存在し、自分たちが地上人と呼ばれていること、バビロンという街にあるバベルという装置で以前は行き来していたが今は壊れていることを知りバベルを向かうことを決意するのでした。

3話「旅立ち」

  パスカルの家も安心できないということでいったん避難する一行。パスカルさんはかつて、エミリオの教育係も務めており、そのことを思い出したエミリオはこれ以上パスカルに迷惑をかけてはいけないと思い、瞬君と一緒に抜け出すことを決意。しかしその途中で反デルザイン派のイグナーツに囲まれてしまうのでした。

4話「イグナーツ」

 イグナーツにとらえられる二人、デルザインを打ち倒すという共通の目的を持っていると感じたエミリオはリーダーであるデメトリオに共闘を持ちかけるのですが、復讐にかられて行動するのでは意味がない、未来を見据えろと一喝。二人はイグナーツの下っ端として働くことになりました。元々喧嘩の多かった二人ですが、意見の不一致から殴り合いのけんかに発展するのでした。一方、アリシア達も帰りの遅い瞬君たちを心配に思い、行方を捜すため、バベルに向かうことにしました。

5話「襲撃」

 イグナーツは王を倒すために、ズー族を仲間にしようと計画を立てますが、1話でズー族に襲われた瞬君とエミリオはそんな暴力的な種族と共闘なんてできないと反対します。ここで明かされるデメトリオの過去。昔デメトリオはズー族のルーシオに道を迷ったところを助けられ友達になりました。ある時、街で暴力を振るわれるズー族を助けようと割って入りますが力及ばず、今度はそれを助けにルーシオが来てくれましたが、ルーシオは殺されてしまいました。デメトリオは自分の無力さを恨むとともに、ズー族への強い差別の元凶である王国にも疑念を抱くことになります。自分が地上に戻ること第一優先の瞬君は予知能力を持つイグナーツのメンバー、エルジュイアから無理やり、予言を聞き出そうとしますが、逆に嘘を信じ込まされ、エンドラブルーバードを探しに行き、エミリオを探しに来た、デルザイン王の配下のズー族達に見つかってしまいます。襲撃を受けるイグナーツ、そこに突然まぶしい光が。

6話「決意」

 何とか逃げることができたイグナーツ。まぶしい光は追ってきたアリシアパスカル達でした。王国側の人間である二人をイグナーツは最初、簡単には受け入れてもらえませんでしたが、会話を重ねていく中でイグナーツ側は二人の素性を知り、一方でイグナーツの戦う理由、その過去をだんだんと知っていき、改めて一致団結してズー族の島へ向かう決意をしました。

7話「少女」

 今後、バベルに向かう防寒対策として服を買いに行く瞬とエミリオとアリシア。道中、エミリオの短剣を貧しい子供に盗まれるが和解、エミリオは国民の貧しい暮らしを目の当たりにすることになります。帰り道、一行は謎の金髪少女に襲われます。加勢してくれたデメトリオのおかげで一転攻勢、その少女がアサシン、人を殺すためだけ性格も破壊させられて育った子だと察したデメトリオはそのシンボルともいえる首輪を破壊し、その少女、ミーシャを解放し、イグナーツの一員としました。パスカルはどうしても知りたいことがあると一度王国に戻ることを決意、それ以外のメンバーは冒険の海へと繰り出しました。

 

 長々と前回までのおさらい、失礼しました。いよいよ8話についてです。

8話「孤島」

 ズー族の島へ向かう一行。冒頭ではミーシャの力がフェリクスと同等であること、瞬とエミリオ、不仲な二人がそろって船酔いで苦しむ面白い姿が見られます。やっとのことで、ズー族の島へ到着し、その長に会いたいと願い出ますが、一行は拘束されてしまいます。

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他のメンバーは拘束されているのに、ルイーズだけは拘束されていません。おっぱいが大きいからではなく、ズー族とのハーフだからです。ズー族が民族の血という概念に重きを置いているのが伝わります。

©エンドライド製作委員会

 ここまでズー族がエンドラ人を嫌うのには過去、人間よりも身体能力が高いズー族を危険な仕事や汚い仕事に使い捨ての道具として利用し、使えなくなったものをこの孤島に追放したことにあります。

 ズー族の長は協力する代わりにデメトリオの命を捧げろと要求してきます。デメトリオは革命がなせるのならと自らの首を差し出しますが、他のイグナーツのメンバーがこれを阻止します。その覚悟を認めた長はデメトリオと1対1で話し合い、他のメンバーは解放されました。

 しかし一行はその村でエンドラ人が畏怖の対象となっていることを改めて実感させられます。差別の根強さを象徴するようなシーンでした。

 デメトリオとズー族の長グラディドの話し合いでは、デメトリオが血の流れない革命を目指し、そのためにズー族の勢力が後ろ盾として存在することが大切だという希望を述べていました。イグナーツのメンバーからの信頼、ミーシャもデメトリオに手を出すなら殺すと連呼しているような状態から見てもデメトリオが優れたリーダーであることがひしひしと伝わってきます。無事交渉は成立、ズー族はイグナーツに協力してもらえることになりました。

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©エンドライド製作委員会

 ここから私が感動した海辺のシーン。

 エミリオは自分が世界のことを何も知らなかったと瞬君に打ち明けます。瞬君はこれに対して「箱入りだもんな」と茶化すのですが、エミリオはこれに素直に頷き、デルザインを倒した後の未来について話します。

 1話に5回は喧嘩していたんじゃないかというぐらい喧嘩が多かったこの二人、エミリオが素直に頷いたことだけで感動しちゃいますよね。旅の中でもエミリオは王位継承権を持った自分の立場を改めて認識し、真正面から向き合って考えた。その頷きに瞬君がまじめな表情を見せるのも大変素晴らしい。このシーンを描くために二人の喧嘩シーンを今まで必要以上に描いてきた、待田堂子さん、まさに天才といったところ。

 そして瞬君がいた世界の話に。文明がこの国より進み、平和で差別もなく食べ物も十分にあるという話を聞いてエミリオは「理想の世界だな」という感想を漏らしますが、瞬君は少しの間ののち遠くを見据えたまま「ああ、そうだな」と生返事をします。

 この生返事が想像力を掻き立てますね。今までの話で瞬君がいた世界で瞬君が不幸だった話は描かれていませんがこれから描かれるのか、平和で差別がなくて食事も十分にあったとしても幸せとは限らないという視聴者へのメッセージそして皮肉なのか、あるいはいまだ明かされぬエンドラと地上人、地上人とズー族の関係が描かれていくのか、非常に今後楽しみになります。

 そしてこのW主人公という構成が面白い。例えば、瞬君がいなかったらよくある、王家の人間が民の暮らしを知らないことを知って苦悩する展開になると思いますが、いわゆる異世界から来た瞬君がいるからこそ、理想の世界の形を知ることができるし、理想の世界を作ることができたとしてもその先の苦悩も知ってしまうことになる。逆にエミリオがいなかったら瞬君はエンドラの情勢について深く考えなかったかもしれないけれど、エミリオがいることで改めて自分の世界についても考えさせられるし、自分がエミリオならどういう行動をするべきか考えることができます。

 監督の後藤圭二さんの最近の作品といえば『戦国コレクション』と『うた∽かた』ですが、どちらも実質主人公が複数いる構成でうまく話を展開していったイメージがあります。今後もW主人公だからこそできる展開に期待しましょう。

 差別の構図は『ONE PIECE』の魚人島編を彷彿とさせます。本来、人間よりも力がある異種族がその見た目と力から迫害を受ける。そしてこの孤島でも全員のエンドラ人への気持ちが一致しているわけではなく、憎悪するもの、畏怖するもの、あるいは瞬君たちと仲良くしたズー族のような協調の可能性を見出している人もいます。魚人島編でも長い目で人間との協調を図ったオトヒメと今捕らわれている魚人を救いたいと行動したフィッシャー・タイガーの考えの違いを描いていました。また『ONE PIECE』で出てきた天上人という概念に対して、『エンドライド』は地上人。偶然とは思いますがなかなか面白い一致ですよね。差別は非常に根深く、一人一人の考えが違い、ストーリーとしてみるなら非常に面白い内容です。特に『エンドライド』は今後、被差別側の視点から描いてくれるでしょうから、一人一人の心の動きから目が離せません。

 

 本編残り2分くらい。王の配下のズー族達が以前つけられた傷は地上人のものだと気付く。謎の鳥の伝令によるところを見ると、この孤島に王側の人間がいるんでしょうかね。この事実をデルザイン王に伝えるまでもないとしたズー族の判断とは…

 

 以上、エンドラインドの魅力、伝わりましたでしょうか。LUNA SEA大好きだしタイアップしてるから見たいけどよくわからない!というような人にも伝わってるとうれしいです。

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